指導者のための指導者支援情報

知っておきたい安全理論

●水中での視覚・聴覚

はっきりとまわりを見るために水中マスクを使い、ガラスを通して水中を観察すると、色鮮やかな世界を見ることができます。でも、普段の空気中での物の見え方とは、少し異なった見え方をしていることについて理解しておきましょう。

(1)水中では物が大きく、近くに見えます。

陸上でも、水中にまで伸びた棒などが水面で曲がって見えたり、水中部分だけが太く見えたりすることがよくあります。それと同じ原理で水と空気の屈折率の違いによって、水中では実際より物が大きく、近くに見えます。それは実際より、4/3の大きさに、そして3/4の位置にあるように見えます。魚の大きさの確認をしたり、水中でロープなどを掴もうとしたりする場合など、この特性を予め理解しておき、あわてることのないようにしましょう。

(2)水中では音がよく聞こえる。

水中では音が聞こえないと思っている人が多いのですが、実は陸上での空気中に比べて水中では約4倍も音は良く伝わるのです。スノーケリングをしていると、突然モーターボートが迫ってくるかのようにスクリューの音などがハッキリと聞こえることがあります。しかし空気中での音の聞こえ方に慣れている私たちには、その方向を知ることができません。この特性を使い、水中で硬いものをたたくことによって音を出して連絡することも可能です。またブダイやフグたちが、サンゴをガリガリとかじっている音もハッキリと聞くことができます。

(3)水中では色が変化して見える。

海の色はなぜ青いのだろう、また深さによってその青色はどんどん変化して見えます。これらは太陽の光が水中ではどんどん吸収され、深くなるにつれて光が届かなくなっているからなのです。水中で光が吸収される時には、光のスペクトル(波長)ごとに吸収のされ方が異なり、虹の色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)でいう赤から順番に吸収され、最後に青色系統だけが残ることになります。光が十分に届かない岩かげなどでは、赤い色は見えにくくなってしまうのです。

●スキン・ダイビングの物理

スノーケリングが水面、大気圧下、継続呼吸といった状態で活動するのに対し、スキンダイビングは、水中、絶対圧下(大気圧+水圧)、閉息(息こらえ)といった状態で活動を行います。それぞれの活動の特徴を押さえるとともに、スキン・ダイビングにおいては、以下の内容を十分に理解した上で活動を行いましょう。

(1)浮力

ダイビング活動においては、浮力のコントロールが重要な技術要素になります。浮力に関する次のような知識を十分に理解するようにしてください。

○浮力 「流体内にある物体の表面に働く流体の圧力差によって、物体が重力に反して鉛直上方に押し上げる力」のことを指します。
○アルキメデスの原理「固体の全部または一部を流体中に浸すと、それが排除した流体の重さに等しいだけの浮力をうける」という原理です。
○正の浮力浮力が重力よりも大きい場合、物体は浮きます。この場合、正の浮力(+浮力)を持っているともいいます。
○負の浮力浮力よりも重力が大きい場合には物体は沈みます。この場合は、負の浮力(-浮力)を持っているともいいます。
○中性浮力 浮力と重力が等しい場合には、物体は浮きも沈みもしない状態になります。この状態のことを中性浮力(±0)と呼び、その状態にすることを“中性浮力をとる”といいます。

浮力

(2)水深と圧力の変化

普段私たちが陸上で生活をしている際には、(海抜0mにおいて)1気圧の大気圧が存在しています。そしてスキン・ダイビング時に、水中に潜っていくと水圧によってさらに身体へ大きな圧力が加わってきます。

この「大気圧+水圧」のことを絶対圧と呼び、水深10mごとに1気圧ずつの圧力が身体に加わっていきます。従って、水深10mでは2気圧、水深20mでは3気圧の絶対圧が身体にかかります。

(3)ボイルの法則

「一定温度における気圧の圧力は体積に反比例する」というのがボイルの法則です。

前述のように、水中での圧力の増加によってウェットスーツなどの浮力体や肺の体積が小さくなり、浮力が少なくなっていきます。また、これらの圧力変化によって、身体に損傷をうけることがあり、これを圧外傷といいます。

(4)熱について

水の熱伝導率は空気と比較して約25倍で、比熱は約1,000倍です。これは、体温以下の水に入ったときに、熱が非常に奪われやすいことを表しています。

そのため、冷たい水に長時間入っていると、体が冷えて低体温症になることがあります。低体温になると、まず体に震えがきます。これをそのまま放っておくと、意識が低下していき、手足の感覚がなくなっていきます。

そこで、ウェットスーツを着用して、積極的に保温に努めて下さい。ウェットスーツは、素材や厚さ、身体へのフィット状態によって保温能力が異なりますので、気温、水温にあわせて、適切なものを選択するようにしてください。加えて、エキジット後に体についた水分を素早くふき取ることや、乾いている服に着替えて温かい格好をすることも体力の温存に効果があります。

また、逆に気温や水温が高いところで、保温効果の高いウェットスーツを着たままにしておくと、体温が上がりすぎて熱中症になってしまう恐れがあります。これを予防するために、活動中は水分をしっかりと補給し、体温が高くなったらウェットスーツを脱いだり、保温効果の少ないウェットスーツを選択したりするようにして下さい。また、日差しが強い場合には、陸上で活動する際に帽子をかぶり、できるだけ日陰で活動するようにすると良いでしょう。


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