安全な指導をするための留意点(実践編)

小学校低学年・幼児が体験できるプログラム

【磯の観察と生き物の調べ方】

  磯の観察の注意点や方法などについては、多くの良いホームページ(例えばhttp://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/iso/)があるので、参考にしてください。
普通、観察に適した時期は、大潮の引き潮のときとされていますが、日本海の場合、太平洋側と異なり、潮の満ち干があまりありません。それより季節的な海面変動のほうが大きく、特に近年、夏にはその他の季節よりかなり海面が上昇するので、夏は特に幼児にとって磯の観察に適した時期ではなくなっています。
 子どもは最初、生き物を捕ることに夢中になり、名前を調べるのはその後になると思います。名前を調べるには、まず、その生き物がどの仲間に入るのか見当をつけます。
ポイントは、大人が主導するのではなく子ども自身で調べるように仕向けることです。昆虫の飼育箱などの透明な容器に生き物を海水ごと入れて、上下左右からよく観察し、スケッチや写真撮影、おおまかな大きさの測定などを行ってよく特徴を把握させます。大人はその特徴を手がかりに生き物の名前を調べることができるように、図鑑、本などを提供し、必要であれば助言します。  どの仲間か見当がつかないときには、外見や手触りからどの仲間かを調べることができる本(例えば「名前しらべ 海べの動物」保育社)も出版されています。
スケッチや写真に、捕った場所や日時とともに調べた名前を記入して保存しておくと、後日、専門家にそれを見せて正しい名前かどうかを確認することもできます。

【ビーチクリーン&ビーチコーミング】

 海にはたくさんの恵みと贈り物があると同時に、我々人間が自然界への負の産物を与えています。特に、海辺には、魚やウニなど海の生き物の死がいから植物の葉や実、流木、プラスチックごみやペットボトル、発砲スチロールなど実に様々な漂流物が押し寄せます。
ビーチクリーンは、海辺のゴミを清掃する活動ですが、環境への理解、環境保全を目的に行います。例えば、小学校低学年に対しては興味を持たせるために「きれいな自然の中に似合わないものがあるのでそれを探そう!」などと動機づけをして行います。また、海にはどんなゴミが多いか。どこから流れ着いたのかなどを考えることで、外国とのつながりを知るとともにビーチクリーンの意義を理解することにつながります。
ビーチコーミングは、海辺の漂着物を観察したり、拾い集めたり、調べたりすることです。また、活動を発展させて、拾い集めた流木やビーチグラス(ガラスの破片が波で角がとれたもの)、貝殻を使って漂流物クラフトをつくったりすることもあります。
海辺の活動であるビーチコーミングとビーチクリーンは、同時に行われることがよくあります。両者の活動の意義をよく理解して、参加者の動機づけをする必要があります。
ビーチコーミングとビーチクリーンの活動は、安全管理の面から海には入りません。また、日本海沿岸各地を中心として医療廃棄物や産業廃棄物などの漂着物も多く、危険性の高い薬品などの中身の入っている容器や、注射針などの医療廃棄物には触らない、拾わない等の約束を決めてから活動することが必要です。また、天候が悪い日、波の高い日、風の強い日などは危険なので波打ち際には行かないようにします。

【マリンクラフト;フォトフレーム】

 廃段ボールと紙粘土で写真立てを作ります。これは写真立ての枠と台となる部分を段ボールで型をとり、その上から紙粘土を貼り付けます。
さらに、その上に漂流物を埋め込むことで個々の創意を生かした写真立てが出来上がります。
紙粘土と段ボールなので、小学校低学年でも簡単に作ることができます。
この海の写真立て作りを行うことで海での自然体験活動の思い出作りや、漂流物と廃段ボールからエコの意識を育むことができます。

【サンドアート(砂遊び)】

夏の海水浴場では、子どもも大人も砂山やトンネルをつくったり、身体を砂に埋めたり砂遊びを楽しんでいます。サンドアートは、この砂遊びを原点に、子どもたちが、砂で造りたいものを話し合い、友だちと協力して砂の造形物をつくり、参加者みんなで楽しみます。さらい、サンドアートは、大人がチームで競いながら何日もかけてつくりあげる砂の造形美の競技にまで広がっています。
サンドアートは、とても単純な活動ですが、子どもだけでなくおとなも熱中させる魅力をもっています。しかし、砂の造形は湿った砂でないとできません。そのため、海辺の波打ち際ぎりぎりで活動することも多いことから、安全に楽しむためには、いろいろと気をつけるポイントがあります。
例えば、突然押し寄せる大きな波に注意が必要です。海況をよく判断し、風が強く、波が高めのときは避けるべきでしょう。また、砂の中にガラスの破片、金属片、釣り針、ウニやカキの破片など危険なゴミや漂流物が埋もれている可能性もあるので注意が必要です。
サンドアートの活動場所は、多くの人が利用する海水浴場など海辺の砂浜が多いので、造った砂の塊や掘った穴は、第三者の転倒防止のため元に状態に戻し、周りの清掃をする必要があります。また、サンドアートは、夏の季節が多く、長時間、炎天下の砂浜で活動するので、日焼けや熱中症に陥らないよう帽子や服装に注意し、水分をこまめにとる必要もあります。

【魚料理、干物づくり】

 幼児や低学年の児童が取り組めそうな料理については、包丁で切る、貝の身をむく、皮をむくなどの簡単に調理でできるものを考えると、大人の手をかけすぎずに出来るのではないかと思います。
 いくつか挑戦できそうなものを紹介します。詳しい作り方については、ホームページなどで探してみてください。
(1)イカの一夜干し
イカの一夜干しは、イカの身を包丁で開き内臓をとって、皮をむき一晩程度干すだけで、おいしく食べることができる料理です。スルメイカ、剣崎イカなどが向いています。
(2)小アジの唐揚げ
サビキ釣りなどで釣った小アジをそのまま調理します。
小アジは、10センチに満たないようなサイズであれば子どもたちにも包丁を使わずに手でエラや内臓を処理して唐揚げなどに調理することができます。

【潮干狩り(干潟の観察)】

潮干狩りは、全国各地の河口や内湾の奥などで干潮時にできる砂地や泥の干潟や遠浅の浜で、あさりやハマグリなど貝類を採取する活動です。同時に、干潮時の砂地や泥の干潟や遠浅の浜は、貝やカニ、ハゼなどの小魚、ゴカイの仲間など多くの種類の生き物が生息しており、海の生き物の観察が気軽にできる場所ともなっています。
このような潮干狩りは、古来から日常的に全国各地で行われており、幼児・小学生から大人まで、個人でも家族でも楽しめる活動であり、採取した貝類を食するなど地域によっては生活の一部となっています。しかし、アサリなどの貝類が漁業権の対象になっている場合もあるので、潮干狩りでは、採ってもよい貝類や禁止されたエリアがないか等、事前に確認しておく必要があります。
潮干狩りは、干潟や遠浅の浜での活動とはいえ、波打ち際の活動であり、他の活動同様に安全管理には十分に注意を払いましょう。
 まず、潮干狩りは干満の差が大きい地域や大潮の時期に行われることが多く、干潟や遠浅の浜では潮が満ちてくるスピードも速く、浅瀬が急に深くなったり、中州に取り残される等の事故も起きていますので、必ず、満潮と干潮の時間をあらかじめ調べ、潮の動きに気をつけて安全な場所で活動します。また、浅瀬とはいえ、海底には局所的な窪みや深みがあるので、海底が見えない場所を歩く際には注意が必要です。他の活動と同様に、突然の大波にも注意が必要です。
 海辺の活動では、日ざしをさえぎるものがないので、熱中症と日焼けの予防が必要です。そのためにも、帽子をかぶり、こまめな水分補給で熱中症を防ぎます。
 必ず、複数人で活動することを決め、活動のはじめと終わりには人数チェックを行います。

【漁業体験】

漁業体験には、定置網、釣り、地引き網などのメニューがあります(関連HPなどを参考してください)。
幼児の体験できるメニューは釣り堀での釣りなど、十分安全が確保されていることが必要です。
その他のメニューでは、幼児は参加して積極的に作業に加わることは難しいですが、獲れた魚介類を見たり触ったり、食べたりして楽しむことはできます。
その場合、大人は安全に十分留意しながら子どもの好奇心を満たせるようサポートしてください。

【イカダ作り、イカダ遊び】

 イカダは、最近では水辺の体験活動のプログラムとして「自分たちの作ったイカダで海に漕ぎだそう」など冒険心をかきたてる活動として行われています。
イカダづくりは、いろいろな材料で作られているようですが、十分な浮力を得るため以下のようなイカダが代表的に作られています。
イカダ作り、イカダ遊び
①ドラム缶を使ったイカダ
②タイヤチューブを使ったイカダ
③発泡スチロール(養殖用ブイなど)を使ったイカダ
②のタイヤチューブの場合は、岩場などでは擦れて穴があく危険性があることなどを心得ておく必要があります。
幼児から小学校低学年の場合は、ロープワークの知識や技術、結束するときの力などが不足していることから、安全を確保するためにも大人の力添えが必要となります。特に、浮力体同士、枠と浮力体の連結部分などはゆるむとイカダが壊れて落水してしまいますから、大人の念入りな確認が必要です。
ロープの代わりに自転車のチューブを切ったものを利用するのも結束が容易で手軽な方法です。  
幼児や低学年児童の場合は、バランスを崩して落水することが予想されるため、防止するための工夫(枠に足をかけるなど)があるとよいでしょう。
乗っている仲間が声と力を合わせて大海原を漕ぎ進むイカダ遊びは、爽快な気分を味わうことができます。
大人のかけ声などにより子どもたちに目標を持たせて達成感を味わわせてあげるとよいでしょう。
ただ、波や風、周囲の岩場の状況により落水者や事故が起こらないよう危険を回避することが重要です。

【飼育による観察】

捕った生き物を飼育すると、動きや餌の食べ方などの生態を観察できます。
しかし、海の生き物は、潮だまりに棲むものなどを除けば一般的に温度の変化や水の汚れに弱いので、飼育水温が捕った場所の水温とあまり変わらないように、また、水が汚れないように気をつけます。
数日間であれば、飼育容器に入れる生き物を少しにして水温の変化の少ない場所に置き、1日1回飼育水を交換すれば飼育できます。
長期の飼育は熱帯性海水魚の飼育法と同じなので、市販の本や関連のHPを参考にしてください。
なお、観察が終わったら速やかに海へ帰してやることを心がけてください。


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